緑と光に包まれて──2025年GW 山梨の休日
旅と美味の記録
2025年のゴールデンウィーク。
私は、ふと思い立って山梨の地へと足を運びました。
豊かな自然。深い歴史。そして、舌と心に残る美味。
日常を離れ、五感をひらく旅でした。
【1】こぶちさわの蕎麦と大滝神社
そばきり祥香
(山梨県北杜市小淵沢町)
旅の出発点は、道の駅こぶちさわ近くの「そばきり祥香」。
すき焼き風の甘辛出汁でいただく肉きつね蕎麦は、牛肉と厚揚げの旨味が溶け合い、身体に染み渡る“導入の一杯”でした。

https://tabelog.com/yamanashi/A1902/A190201/19000592
大滝神社
その足で向かった大滝神社。
石造のトンネルを抜けると、現世から神域へ踏み入れるような静けさと清浄が漂っていました。
足を進めるごとに、心のざわめきが少しずつ洗い流されていくようでした。

境内では湧き水も自由に汲める、心落ち着く場所です。

【2】紅葉橋景観保存地区の自然に触れる
紅葉橋の景観保存地区では、新緑の渓流と鳥のさえずりに包まれたひととき。

白い花が咲く枝越しに水面を眺めると、都会の時間がすっと遠のく。
水音に耳を澄ませば、風の囁きと鳥のさえずりが心に染み渡り、ただそこにいるだけで癒やされていく。
日常からふっと浮かび上がるようなひとときでした。

【3】光射す瞬間 ― みずがき湖にて
ふらっと立ち寄った湖。ちょうど夕日が山頂に差しかかり、まるで自然が語りかけてくるような一瞬。
人生にも、こういう光が差す瞬間がある。
それは偶然のようで、きっと何かの導き。
大人になると、風景にも背中を押されることがある。旅の意味と、自分のこれからをふと考えた時間でした。

静かに山の端に沈む夕日を見つめていると、空にうっすらと虹の輪(ハロ現象)が…。
この瞬間に出会えたこと自体が、旅のご褒美だったように思います。

【4】こうしゅう庵で味わう“名料理の連続”
山梨県昭和町の名店「こうしゅう庵」でいただいたコースは、まさに心に残るものばかりでした。

■ すっぽんの茶碗蒸し
口に運ぶと、出汁の旨味が静かに広がり、そこにすっぽんの深いコクが重なります。
とろりとした滑らかな舌触りの中に、一点添えられたジュレのようなエッセンスが、まるで“静寂の中のひとしずく”。
一口目で心がほどける、そんな一皿でした。

■ 八幡芋のオランダ煮
ほろりと崩れる芋の柔らかさ。衣の中には旨味がぎゅっと閉じ込められていて、とにかく出汁のソースが絶品で、その美味しさに純粋に驚きました。
添えられた素揚げの細切り牛蒡が香ばしく、食感のアクセントも絶妙。
季節の恵みを丁寧に炊いた、“滋味”という言葉が似合う逸品です。

■ お造りの盛り合わせ
氷を敷き詰めた皿の上に、鮮度そのままの魚介たち。
とろける中トロ、ぷりっと弾むイカ、しっとりした白身──
薬味も美しく、ひと口ごとに海の香りが鼻を抜けていく。
“旨い刺身”とは、こういうものなのだと改めて感じさせられる構成。

■ 甲州牛のカレー
深い茶色のルーは、見た目以上に繊細で、どこまでもなめらか。
スパイスの刺激よりも、じっくり煮込まれた野菜と肉の旨味が主役。
甲州牛の脂が溶け出し、ご飯の一粒一粒を包み込むように絡んでくる。
これは、“和のカレー”としてひとつの完成形かもしれません。

■ 蛍烏賊とトウモロコシの天ぷら
ふんわりと香る春の訪れ。蛍烏賊の凝縮された旨味と、トウモロコシの自然な甘みが、衣の中でひとつに。
まさに“小さな旬の宝箱”。
天つゆなしでも十分に成立する、素材の力を感じるひと皿でした。

■ まぐろと烏賊の鮨
握りは小ぶりながら、米の温度とネタの温度がぴたりと合っていて、口に入れるとすっと馴染む。
まぐろはしっとりと、烏賊は瑞々しく、最後に酢飯がほろりとほどける…。
静かで豊かな時間が、ここにありました。

■ クリームチーズのプリン
一口ごとに舌の上でとろけていき、最後にふんわりと香るチーズのコクが静かな夜の余韻にぴったりと寄り添ってくれる。
余韻の心地良さ。旅の終わりを締めくくるにふさわしい一品でした。

そして、どの料理も、山梨の地酒との相性も抜群でした。
店主を始め店員の皆さんも、とても温かく、細かな気遣い、確かなホスピタリティがありました。
静かな夜、心と身体がじんわりと温まります。
日本料理 こうしゅう庵 (【旧店名】料理や こうしゅう庵)のご予約 – 小井川/日本料理 | 食べログ
🏁 締めくくりに
自然と食に包まれた1日。日常から離れ、五感で楽しむ山梨の旅は、まさに心のリセットボタン。
次に訪れるときも、きっとまた違う発見があるでしょう。