痴漢行為と懲戒処分──「私生活の非行」はどこまで企業秩序に影響するか?

📌「バレたらクビなんです」──留置場で揺れる嘘と真実
留置場の奥、ガラス越しの接見室。
男は、手を小刻みに震わせながら弁護士を見つめていた。
精神的な混乱は、見た目以上に深いようだった。
「先生……これ、会社に知られたら……たぶん、終わりです。解雇ですよね……?」
弁護士は、沈黙のあと、静かに応じる。
「被疑事実は述べていないでしょうが、警察から会社に連絡はいっているでしょう。いずれにしろ、いずれ知られます。」
男は顔を伏せたまま、言葉を継ぐ。
「……だったら……“やってない”って言った方がいいんでしょうか。痴漢なんてしてないって──」
(さらに…)