業務広告規制と弁護士がブログをやるべき理由

前回は、個人的にブログをやってよかったことを列挙しました。
今回は、私個人ではなく、弁護士がブログをやったほうがよい理由を述べていきたいと思います。

弁護士の業務広告に関する規制

弁護士は業務広告を厳しく制限されています。
  だからこそ!
ブログをやったほうが良い!

弁護士は、過去、広告宣伝をすることが禁じられていました。
というのも、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」を使命とし、
「常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない」とされ、
極めて高い弁護士倫理を負っています(弁護士法1条、2条)。

(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
(弁護士の職責の根本基準)
第二条 弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やヽに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。

そこで、過去の日本弁護士連合会の理事たちは、弁護士が広告する行為そのものが品位に欠ける行為だとしていたのです。
今の弁護士広告を見ている人からすれば、

何をいっているのかしら?
過払い金請求とか、B型肝炎訴訟とか、たくさん聞くけど。

と言ったところでしょうが、そんな高潔な志をもった法律専門家が弁護士だったのです!!
(実際のところは、人数が少なく紹介だけで十分食べていけたから広告宣伝なんて必要なかったのだと思いますが。)

しかし、平成12年、日本弁護士連合会が弁護士の業務広告に関する規程を定めたことで、弁護士の広告宣伝が解禁されることになりました。
この規定の解釈の基準として、業務公告に関する指針も定められ、ともに度々の改正をしています。
この規定、指針を見てもらえば分かりますが、厳しい広告規制がされています。
例えば、誇大又は過度な期待を抱かせる広告は禁止されていますが、「当事務所ではどんな事件でも解決してみせます。」「たちどころに解決します。」という言葉も禁じられています。

そんな言葉で過度な期待を抱きますかね?

実際に悩んでいる人は、藁にもすがる思いで、信じたいものを信じる傾向にあります。
「当事務所ではどんな事件にも全力で取り組みます」というのと、「当事務所ではどんな事件でも解決してみせます。」というのでは、後者の事務所に依頼したくないですか?

確かに、言っていることは似ているのに、解決すると断言している事務所にお願いしたくなりますね!!

専門分野表示と得意分野表示の違い

初対面の方に、よく聞かれるのが、この言葉。

先生のご専門は何ですか?

弁護士の扱っている業務は幅広く、特定分野しか扱っていないという人は、さほど多くありません。
それこそ宣伝目的で、外部の人には、一分野特化とうたっているのではと疑ってしまいます。

そもそも、弁護士は、専門分野を表示することについて、「経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害も生じるおそれがある。客観性が担保されないまま専門家、専門分野等の表示を許すことは、誤導のおそれがあり、国民の利益を害し、ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあるものであり、表示を控えるのが望ましい。」とされています。
これに対し、得意分野という表示は、「その表現から判断して弁護士等の主観的評価にすぎないことが明らかであり、国民もそのように受け取るものと考えられる」として、規定に違反しないとされています。

結局、弁護士の広告宣伝は、なかなかにハードルが高く、

広告宣伝禁止の世界で活動してきた先輩方に意味なく嫌われるのもなぁ、、それもなんだか面倒だから、やりたくないなぁ。

というのが実際のところで、そういった縛りを超えて、ある意味振り切ってやっていたのが、債務整理特化型事務所だったのです。
広告宣伝をすることに馴れていない、特に年長の先生方は、苦々しく思っていたことでしょう。

そんな面倒な広告規制がある弁護士業界ですが、ブログはある意味、ソフトな広告宣伝手法といえるでしょう。
得意分野を、自分の実績に基づいてアピールできるのは、何よりのメリットです。

ブログのネタに困らない!

ブログが続かない理由は、書くネタに困るということではないでしょうか。
しかし、弁護士は、豊富な法律知識を有しているので、法律に関連することであれば、書くネタに困るということは、そんなにありません。

知識のStorageになる!

加えて、法律情報が分からなくなった時に、自分の書いたブログ記事を読めば、すぐに思い返し、理解できます。
法律って、さすがに難解なので、普通に本を読んでも、すぐに理解できませんが、自分がいったん、咀嚼して理解したもの、そしてアウトプットしたものであれば、それを読み返して、理解するのは容易です。

また、ある事件が終わると、その記録は保管され、容易に陽の目をみることはありません。どのような問題があり、どのように解決したのかが、時間とともに風化していきます。
しかし、ブログであれば、事件そのままを残すことは当然できませんが、デフォルメしたうえで残すことは可能でしょう。
その事件の問題点、解決結果が、容易に検索できるようになるでしょう。

知識の深化、定着その他の副次的効果!

そして、前回述べたとおり、法律知識の定着、深化、その他もろもろの副次的効果を考えれば、やらない理由がありません。

まとめ

ブログを自作するというのは、業務多忙な弁護士としては、なかなか大変な作業です。
しかし、これだけ弁護士向けの情報発信手段も中々ないのではないでしょうか?

まだまだ、小さなブログではありますが、コツコツと育てていき、このブログを見れば、ほとんどの事件を解決できる糸口になるといわれるブログになれば良いなと思います。
ブログを自作すると、育成ゲーム的な楽しみがありますよ(*´▽`*)

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