【消滅時効】新設された協議を行う旨の合意による時効の完成猶予で円満に話し合いによる解決を!

改正民法では、協議を行う旨の合意による時効の完成猶予の規定が新設されました。
これは、債権者と債務者間で話し合いによる解決を目指していても、消滅時効期間の経過が間近くなると、時効の完成を避けることを目的に、訴訟提起などの手段を取らざるを得なかったため、紛争を出来る限り回避する趣旨で設けられたものです。

これが認められるためには、協議を行う旨の合意を書面で作成しなければなりません。
当事者は、1年を限度として、猶予期間を設けることができ、さらに、猶予期間中に再度の合意をすることも可能です。但し、本来の時効期間満了時から5年を超えることができないとして、一定の制限が設けられています。
また、事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から6か月を経過した時に時効が完成するとあされています。

協議を行う旨の合意による時効の完成猶予制度が、実務的に定着するかは分かりません。
消滅時効期間が迫っている紛争性のある事案で、債務者が、消滅時効の猶予期間を与えるような合意を書面で作成することに協力するケースは、さほど多くないものと思われます。
債権者としては、合意書面が作成できない可能性が高いことを前提に、今までどおり、催告などの方法をもって、時効の完成猶予及び更新の手続きを並行して進めることが必要と思われます。

(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
第百五十一条 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
 一 その合意があった時から一年を経過した時
 二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
 三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時
2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない。
3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。
4 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。
5 前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。

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