【消滅時効】時効の中断と停止から時効の完成猶予と更新への文言変更 再度の催告は認められませんのでご注意を!

旧民法では、時効の中断、停止が規定されていましたが、これを、時効の完成猶予と更新という言葉に変更がされました。
時効の中断は、進行していた時効期間がリセットされ、一から時効期間が進行するという意味合いのものでしたが、ちょっと分かりにくいということもありますし、また、裁判上の請求などは、時効中断事由とされていながら、訴えを取り下げると、時効中断の効力が遡ってなかったことにされるなど、ちょっと分かりにくい内容でした。
そこで、字面から分かるように、時効の完成猶予と更新の規定として、整理されています。

承認による時効の更新

旧民法でも、承認は、時効中断事由として最たるものでした。当事者が債務の存在を認めているのですから、当然ですね。
ただ、消滅時効の制度を知らずに、債権者が望むまま、承認手続きをした場合、時効は更新されてしまいますので、ご留意ください。

(承認による時効の更新)
第百五十二条 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。

催告による時効の完成猶予

旧民法では、時効の停止とされていた「催告」の手続き。確かに、停止とはなんぞや、というところもあり、完成猶予と言われると、もっともしっくりくるものがあります。
旧民法では、催告後、6か月以内に、裁判上の請求等の法的手続きをとらなければ、時効中断の効力は生じないとされていたことから、私自身も、依頼者から相談を受けた時に、時効ギリギリで、慌てて内容証明郵便で、通知書を作成、発送し、6か月以内に訴訟提起をするということが良くありました。
改正民法では、催告後、6か月経過するまでの間、時効は完成しないと端的に記載されました。
また、時効完成猶予中の再度の催告は、あらためて時効完成猶予の効力を有しないことが明記されました。この点は、元々、再度の催告は、認められていませんでしたが、分かりやすく記載したものです。

(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新

改正民法では、裁判上の請求等、強制執行等、仮差押え等について、時効の完成猶予と更新で整理をしています。
それぞれの手続きをすることで、まず時効の完成猶予とされ、裁判上の請求等による場合は、「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したとき」に時効期間が更新されるとされています。
確定判決と合一の効力を有するものとしては、和解調書、調停合意などが考えられます。
強制執行等による場合も同様で、まずは、時効の完成猶予とされ、強制執行等の手続きが終了した場合に、時効期間が更新されるとされています。

(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
 一 裁判上の請求
 二 支払督促
 三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
 四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十八条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
 一 強制執行
 二 担保権の実行
 三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
 四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続又は同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。

(仮差押え等による時効の完成猶予)
第百四十九条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
 一 仮差押え
 二 仮処分

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