【請負契約】ダクト工事が7割終了した時点で契約解除されても報酬金は請求できるのか?注文者が損害を被った場合はどうなるか?


若杉健志さん

うちの会社が受注した工事で、ダクト工事を下請け会社Aにお願いしたんだけど、7割方終わったところで、A会社の職人Bが現場にこなくなってしまったんだ。Bに話を聞くと給料未払いだったので、現場にこなかったんだって。A会社との契約を解除して、C会社にお願いしてダクト工事を完成させたんだけど、注文主に引き渡しが遅れて、賠償責任を負うことになってしまったよ。A会社から、請負代金の7割の請求がきているんだけど、応じないといけないのかな?

ダクト工事が7割終了しているのであれば、請負代金の支払義務が発生する可能性はあるね。改正民法では、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けた場合には、その限度で請負代金を請求できると定めています。ただ、請負人であるA会社の債務不履行で、若杉さんの会社が賠償責任を負っているから、A会社に対して損害賠償請求はできるよ。対等額で相殺すれば良いでしょう。

仕事未完成の場合の報酬請求の原則と例外

請負契約は、仕事の完成に対して報酬が支払われます。そのため、原則として、仕事が完成していない場合には、報酬を請求できません。
しかし、旧民法下の判例では、仕事の結果が可分で、既履行部分について注文者が利益を得ている場合には、既履行部分について解除できないとするものがありました。
そこで、改正法634条で、請け負った仕事の一部が未完成でも、報酬請求権が発生する場合があることが規定されました。

①請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けること
②仕事が未完成の理由が下記のどちらのかの事情であること
ア 注文者の責めに帰することができない事由であること
イ 仕事の完成前に解除されたこと
⇒ 請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できる。

質問事例の場合

質問事例の場合、A会社のした工事で、7割のダクト工事が終了しており、C会社の追加工事で完成しています。この場合、A会社の工事により、若杉さんの会社は、7割の出来高の利益を得ています。
そして、請負人のA会社の債務不履行によって仕事が完成しなかったわけですから、②ア注文者の責めに帰することができない事由により、仕事が未完成になっています。
よって、A会社は、若杉さんの会社に、7割の報酬金を請求できます。
他方、A会社の債務不履行により、若杉さんの会社は、注文主から損害賠償請求を受けていますから、その分、A会社に損害賠償請求をする必要があります。
もっとも、A会社は、職人Bに給料の支払いができないくらいですから、報酬金の支払い後に、A会社から損害金を回収することはできないでしょう。
結局、若杉さんとしては、A会社に対する報酬金支払い義務と損害賠償請求権とを対等額で相殺し、相殺後の残った報酬金の支払いをすれば足りることになります。

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第六百三十四条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

とら先生ぷちコラム
【注文者の責めに帰すべき事由により仕事が完成しなかった場合】
改正法634条は、注文者の責めに帰することができない事由による場合の規定であるため、注文者の責めに帰すべき事由によって、仕事が未完成となった場合の請負人の報酬請求権がどうなるかが問題となります。
この場合は、危険負担の問題として考えることができます。改正法536条2項によれば、請負人は、全額の報酬請求をすることができると考えられます。
ただ、注文後、すぐに仕事が未完成となった場合にも、全額請求できるとするのも疑問です。
この点は、536条2項の解釈問題となると考えられます。
 

今回の質問者はこちらの方

男なのに癒し系 洗足池の工務店4代目社長、若ちゃん。
同い年のため、仲良くさせてもらっています。
実際に、ユニットバスを設置してもらったり、強風で窓ガラスが割れて直してもらったり、天井埋め込み型スピーカーが壊れて交換してもらったりと色々とお願いしています。迅速かつリーズナブルな使い勝手の良い工務店。
そんな工務店の社長と知り合えてラッキーでした。

※ 質問内容は架空のものです。

若杉 健志

木造耐震補強+リフォームが得意な工務店

リフォーム・新築のセダー建設株式会社代表

現場に強い一級建築士

大田区は洗足池にて、地域密着型工務店をしており、私は4代目です。
ひいお爺ちゃんやお爺ちゃんは棟梁でした。
その時代から続く「伝統の技」に加え、耐震性や省エネに優れた「今」を加えた家づくりが大事だと思います。
デザインを重視するあまり、納まりが悪く、長持ちしない工事をよく見かけるんですが、私は、それが許せないんです。建物の10年20年って、あっという間なので。
一言でいえば【温故知新の家づくり】を行なってまいります。
セダー建設は、通常の内装・外装・水回りリフォームの他、特に木造耐震補強に強みを持っています。

イベント好きです。年に一度の「セダケンまつり」の他
餅つき・バスツアー・工作教室・セミナー等々開催しています。

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