Man in a suit sits at a wooden table with hands clasped, a small Rubik’s cube on the table, warm sunset light in the background.

🕊️ 「男には無理だ」と諦める前に

「離婚しても、子どもと一緒に暮らしたい。でも、親権は母親が絶対有利なんだろう?」

法律相談にこられる父親の多くが、そう肩を落として仰います。

確かに、これまでの実務では8割から9割のケースで母親が親権を獲得してきたという統計上の事実があります。
しかし、裁判所が本当に見ているのは「性別」ではなく、何よりも「子どもの利益(どちらと暮らすことが子どもにとって幸せか)」という一点に尽きるのです 。

「男だから」と諦める必要はありません。法的な視点を正しく理解し、現実を直視すれば、道は必ず開けます。

⚖️ 裁判所が重視する「4つの判断基準」

裁判所が親権者を決める際、総合的に考慮されるのは主に以下の4点です 。

  1. これまでの監護実績(最重要!)
     どちらが主体的に食事を作り、お風呂に入れ、園や学校との連絡を担ってきたかという、日々の「育児の積み重ね」が厳しく問われます 。
  2. 監護の継続性
    現在、子どもが安定して暮らしている環境をむやみに変えない方が良いという考え方です 。
  3. 子どもの意思
    15歳以上の場合は裁判所が意見を聴くことが義務付けられていますが、実務上は10歳前後からその意思が尊重される傾向にあります 。
  4. 今後の監護体制と面会交流への寛容性
    仕事と育児をどう両立させるか、また別居する親との面会交流を柔軟に認める姿勢があるかどうかも大きなポイントです 。

🔥 父親が親権を勝ち取るための具体的対策

お父さんが親権を目指す場合、母親以上に「客観的な事実」を積み上げ、証明していく必要があります。

「育児実績」を可視化する
年代別や1週間のタイムテーブルを作成し、自分が具体的にどう子どもと関わってきたかを説明できるように準備してください 。

「仕事優先」からの脱却
 時短勤務の活用や残業の少ない部署への異動など、子どもと過ごす時間を物理的に確保する姿勢を見せることが不可欠です 。

「サポート体制」の構築
 近隣に住む祖父母などの協力を得られる体制を整え、それを裁判所にアピールしてください 。

「子どもの手続き代理人制度」の活用
子どもが「お父さんと暮らしたい」と願っている場合、子どもの意思表明を弁護士がサポートする制度の利用も検討すべきです 。

⚖️ 3年半の監護実績が「父親の親権取得」を勝ち得た事例

過去のブログ記事で紹介した、父親が親権を勝ち取った重要な判決があります(神戸家裁伊丹支部)。
本事案では、別居後の3年半におよぶ献身的な育児実績と、お子さん自身の「お父さんと暮らしたい」という強い意思が尊重され、最終的に父親が親権者に指定されました。

👨‍👩‍👧‍👧 子の意向と長期の別居が決め手に― 家庭内の不和と親権・養育費の判断 ―

令和7年4月24日神戸家庭裁判所伊丹支部/令和5年(家ホ)37号 🕊️ 「あのとき、ランドセルが蹴られた」 夕方の光が、部屋のカーテンの隙間から差し込んでいた。ランドセルを片づけようとしたと […]

🐯 弁護士 佐藤嘉寅(とら先生)の視点

親権は「権利」ではなく「子どもを守る義務」です

親権には、身体的な世話をする「身上監護権」と、財産を管理する「財産管理権」の2つが含まれます 。
私が相談を受ける中で、特にお伝えしたい「現実」があります。

  • 「仕事が忙しかった」は、親権争いでは通用しません
    どれほど外で働いて経済的に支えていても、実際に子どもと過ごす時間がなければ「監護能力が低い」と判断される厳しい現実があります 。
  • 20264月、新しい時代へ
    今月(2026年4月1日)から改正民法が施行され、離婚後も父母双方が親権者となれる「共同親権」の選択が可能になりました。
    これにより、単独親権を奪い合うだけでなく、協力して子育てを続ける道も公的に認められたのです 。

最後に、これだけは覚えておいてください。

親権は、「願った人」ではなく「準備した人」が勝ちます。
子どものために何ができるのか、まずは冷静に、そして早急に専門家と戦略を練りましょう 。

🌿 次回予告

 「別居したい。でも、お金が怖くて動けない」 次回は、別居後の生活を支える命綱、『損をしないための婚姻費用分担請求』についてお話しします。

文書作成者

佐藤 嘉寅

弁護士法人みなとパートナーズ代表

プロフィール

平成16年10月 弁護士登録
平成25年1月 弁護士法人みなとパートナーズを開設
得意分野:企業間のトラブル、債権回収全般、離婚、相続、交通事故、刑事弁護、サクラサイト被害などの消費者問題にも精通

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