【闇夜の雪 浅間山ろく玄鳥記1】餡住実茶の初作品 軽井沢で小説を片手に主人公の軌跡をたどるのも乙な楽しみ方です!
作者との出会いは、大学2年時19歳の頃、司法試験予備校でした。
ひたすら勉強をしていた当時、将来、餡住実茶(あんじゅみさ)の名で、小説家としてデビューするとは思いませんでした。
現在、長野県の軽井沢に居住している餡住実茶さんですが、8月20日、『浅間山ろく玄鳥記』シリーズの第1話「闇夜の雪」が発売されました。
これは読まねばならんだろうと言うことで、早速読んでみました。
餡住実茶さんのFacebookページを見たところ、次のような記載がありました。
『浅間山ろく玄鳥記』には、軽井沢の地元の方々への感謝が、自然、込められることとなりました。
餡住実茶Facebookページ
それと同時に、寒冷で火山性の厳しい大地・軽井沢の、本来の姿への讃歌でもあります。
その言葉どおり、同書の特徴は、土地の描写が細かいこと。
地図を傍らにおいて、同書を読むと、主人公の玄兵衛の動きが良く分かります。
玄兵衛が、沓掛宿から軽井澤宿に向かうシーンでは、
沓掛の宿を抜けると、湯川のほとりに 八幡社が鳥居を構える。
闇夜の雪 浅間山ろく玄鳥記1
現代においては、〈長倉 神社〉の名で地元の氏神として親しまれるこの社は、その名が延喜式神名帳に〈 官社〉として記されることから、平安時代以前に遡る由緒ある神社とされている。
と記され、つい長倉神社って、どこにあるのかな?と調べてしまいます。
玄兵衛の稼業は、小間物売りですが、行きがかり上、やむを得ずに始めた仕事が、いわゆる女衒です。
川柳に〈軽井澤〉といえば飯盛女を意味したように、界隈に遊女は多く、 軽井澤・沓掛・追分の三宿を合わせたその数は、時に数百に上ったという。 玄兵衛は、その繁華で猥雑な浅間三宿で、主には遊女らに小間物を商うことを生業とした。 が、その玄兵衛には、もう一つの稼業があった。おみつのように暮らしに窮した女たちが、旅籠屋に身売りする際の仲介である。それを、世には〈 女衒〉という。」
闇夜の雪 浅間山ろく玄鳥記1
物語は、玄兵衛が、おみつを飯盛女として、三度屋に仲介するところから始まります。
三度屋は、現在、旧三笠通りに骨董・カフェの店として存続しており、物語当時は、次のとおり記されています。
この通りは現在の〈旧軽井沢銀座〉であり、その中ほどに位置するのが旅籠〈三度屋〉であった。軽井澤宿では四軒ある脇本陣の一つで、加賀藩前田家の御用達宿として、重臣のみならず殿様本人も通い、裏手には〈加賀御殿〉なる別棟までをも備えた、いわば名門の旅籠屋である。
闇夜の雪 浅間山ろく玄鳥記1
なぜか、おみつが気にかかる玄兵衛。
二人ともに抱く淡い思い、交わらない思いが切ないです。
物語は、昔の仕事仲間である太助の
「佐之吉棟梁がお縄になった」
との言葉から、展開していきます。
その後、物語がどうすすむのか、是非、ご購読のうえお確かめください。
購読後、餡住実茶さんに感想をメールしたところ、返ってきた返事は、下記の内容でした。
『結末は、軽井沢だからこそのものと思っています。
人が生きていくには、理不尽で過酷な寂寥の地だと感じざるを得ない。
そこに、信州人の一直線な不合理さもあって。
そういう土地だからこそ、小説を書かせてもらえた気もしています。』
この言葉の意味、餡住実茶さんの「 闇夜の雪 浅間山ろく玄鳥記1 」を読めば分かると思います。
時には、窓辺で落ち着いて読書などいかがでしょうか。
餡住実茶(あんじゅみさ)
小説家
軽井沢で小説を書くことになった元・司法試験受験生
1973年、鎌倉生まれ、横浜育ち。
一橋大学法学部卒業後、アルバイトの傍ら司法試験を受験するも断念。
経営管理やリスクマネジメント系アドバイザリー業務に没頭した後、軽井沢に転居。
実用書の執筆やコンサルティングに携わる。
軽井沢に暮らして間もなく、
清浄なる別荘地の底流をなす江戸時代の繁華で猥雑な宿場町だった頃の風土と、
そこに暮らす人々の姿に惹かれ、思いがけずも小説の執筆を始める。
歴史と風土の中にその土地ならではの人情を描きつつ、
人としての普遍的な生き様を見いだそうとする。
時代小説に純文学的な要素を織り込んだ、静謐な作風を得意とする。
2020年8月、江戸時代の中山道・軽井沢を舞台にした『浅間山ろく玄鳥記1 闇夜の雪(あんやのゆき)』を、Amazonの電子書籍Kindleにて発売。
文書作成者
佐藤 嘉寅
弁護士法人みなとパートナーズ代表
プロフィール
平成16年10月 弁護士登録
平成25年1月 弁護士法人みなとパートナーズを開設
得意分野:企業間のトラブル、債権回収全般、離婚、相続、交通事故、刑事弁護、サクラサイト被害などの消費者問題にも精通
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