本ブログは、弁護士法人みなとパートナーズの公式ホームページではなく、私・佐藤嘉寅の個人ブログですが、改正民法を中心に、さまざまな法改正の解説を行っています。

今後も、読んでいただければ「改正のポイントが分かる」と感じていただけるような投稿を続けていきたいと思っています。

とはいえ、読者の方からは、
「法律の話ばかりだとちょっと堅い」「文字が多くて読むのが大変」といったご意見もいただきました(始めたばかりなのに……(>_<))。

そこで、これからは、趣味のひとつであるグルメ情報も随時ご紹介していく予定です。また、もうひとつ、ぜひ取り上げたいのが“漫画”です。自分が大好きな漫画作品を、このブログで紹介できたらと思っています。

ただ、漫画の紹介にあたって悩ましいのが「表紙画像の使用」について。実は、漫画の表紙画像をそのまま載せると、著作権侵害の問題が生じるおそれがあるんですよね。

…というわけで、「おすすめ漫画紹介」シリーズを始める前に、まずは“漫画表紙と著作権”について、少し真面目に考えてみたいと思います。なんだか、弁護士ブログらしくなってきました(笑)。

以下は、実際に「漫画の表紙画像を使っていたブロガーさん」から受けたご相談の一幕です。

漫画表紙の著作権のご相談

とら先生、自分のブログで、おすすめの漫画を紹介したいんで、漫画の表紙を撮影した写真をアップしたんですけど、読者の方から、著作権侵害ではないのかとコメントがあったんですよ。これって、著作権侵害になるんですか?


おすすめの漫画ということなので、著作者の不利益にならないから許されると思っているかもしれませんが、著作権法上、著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」とされています。漫画の表紙は、作成者の思いを表現したものだから、当然、著作物にあたって保護されます。

著作権制度の趣旨

著作者に著作権が認められているのは、思想または感情の創作的な表現を創出した者に対して、その創出した作品に関する利用を一定の保護期間、独占させるという手段を通して、創作的な表現の創出に対するインセンティブを高めることにより、文化の発展を促進させようとするところにあります。

著作物とは

著作物は、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいいます。つまり、他人の物まねではなく、自分で考えて作ったものが広く保護されています。著作権法10条で、次のものを著作物として例示しています。

①小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
②音楽の著作物
③舞踊又は無言劇の著作物
④絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
⑤建築の著作物
⑥地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
⑦映画の著作物
⑧写真の著作物
⑨プログラムの著作物

著作権とは

著作権には、著作者人格権と著作権(財産権)があり、さらに細かく分類されています。

著作者人格権

①公表権
②氏名表示権
③同一性保持権

著作権(財産権)

①複製権 
②上演権・演奏権
③上映権
④公衆送信権
⑤公の伝達権
⑥口述権
⑦展示権
⑧頒布権
⑨譲渡権
⑩貸与権
⑪翻訳権・翻案権
⑫二次的著作物の利用権

僕らみたいなブロガーは、引用として、元ネタを使用していますが、それと同じように、漫画の表紙を引用していると言えないのですか?

確かに、著作権法32条は「公表された著作物は、引用して利用することができる」と定めています。
ただし、引用が許されるのは「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」とされており、かなり限定的です。
あなたがしようとしているのは、漫画の内容の批評であって、漫画の表紙を批評するものではなく、単に、読者に分かりやすい訴求性を持たせるという目的のもとに利用しようとしているだけですよね。そういった目的では、引用は許されないでしょう。

著作物の引用の要件

法32条は、著作物の引用を認めていますが、その引用を認める要件は、次のとおりです。

 ①引用部分が「公表」されている
 ②引用部分と自己の著作物の「区分が明瞭」である
 ③自己の著作物が「主」であり、引用部分が「従」である
 ④「引用の目的上正当な範囲内」である
 ⑤出所を明示
 ⑥著作者人格権の侵害がない

それでは、著作権者から、直接、承諾をとるしかないんですね。そうすると、漫画の表紙を使うのは、事実上不可能ですよ。

著作権を、そのままの意味で考えると、結論はその通りです。著作物を利用したいなら、著作権者から承諾をとらなくてはなりません。
ただ、Amazon アソシエイト・プログラムを利用すれば、アマゾンサイトの画像リンクを使うことが許されています。

アフィリエイターが、アマゾンで販売している商品のリンクを貼ってますね。でも、何で許されるんでしょう?

Amazon.co.jp利用規約によると、アマゾンサービスのすべてのコンテンツは、アマゾンまたはコンテンツ提供者の財産とされていて、画像の無断転載は禁じられていますが、Amazon アソシエイト・プログラムは、アマゾンで販売している商品を、サイト運営者が紹介して成約させることで、紹介料をもらうというビジネスです。そして、このビジネスの範囲内において、コンテンツを複写し、サイト運営者のサイト上に限り表示することを認めているからです。

アマゾンサービスのコンテンツと著作権

Amazon.co.jp利用規約(抜粋)

著作権
アマゾンサービスを通じて提供されるすべてのコンテンツ(文字、グラフィック、ロゴ、ボタンアイコン、画像、オーディオクリップ、デジタル形式でダウンロードされたもの、データに編集を加えたものなど)は、アマゾンまたはコンテンツ提供者の財産であり、米国および日本の著作権法、および著作権に関する国際法によって保護されています。アマゾンサービスを通じて提供されるすべてのコンテンツの編集物は、アマゾンの独占的な財産であり、米国および日本の著作権法および著作権に関する国際法によって保護されています。アマゾンサービスを通じて提供される情報および画像等の無断転載をお断りいたします。

Amazon Services LLCPO Box 8102, Reno, NV 89507 USA

Amazonアソシエイト・プログラム運営規約(抜粋)

限定的ライセンス
本規約の条件に従い、本プログラムに関連してアマゾン・サイトの商品を宣伝し、エンドユーザをアマゾン・サイトに誘導するという限定的な目的に限り、甲は、乙に対して、(a)アソシエイト・プログラム・コンテンツを複写し、乙のサイト上に限り表示することおよび(b) アソシエイト・プログラム商標ガイドラインに従って、アソシエイト・プログラム・コンテンツの一部として甲が乙に対して提供する甲の商標およびロゴ(これらの商標およびロゴを「アマゾン商標」と総称します。)に限り、乙のサイト上においてのみ使用することのできる、限定的、取消し可能、譲渡不可、サブライセンス不可、非独占的、無償のライセンスを付与します。

本第11条に定めるライセンスは、乙が本規約もしくは運営文書に基づくいかなる義務をも適時に遵守しない場合または本規約が解除された場合、それと同時に、直ちに自動的に解除されます。さらに、甲は、乙に対して書面にて通知することにより、本第11条に定めるライセンスの全部または一部を解除することができます。本第11条に定めるライセンスが解除された場合または甲が随時要請する場合、乙は、解除されたライセンスの対象となったまたは甲が要請したアソシエイト・プログラム・コンテンツおよびアマゾン商標の一切を、乙のサイトから直ちに除去、削除その他破棄するものとします。

Amazon.com, Inc.

つまり、アマゾンサイトの画像を利用するためには、アマゾンとAmazonアソシエイト・プログラムの契約をしないといけないということですね。良く分かりました。でも、とら先生は、ずいぶんこのことに詳しいのですね?

実は、自分もおすすめ漫画の表紙をブログに載せたいと思って、掲載方法を考えていたんですが、結局、アマゾンや楽天などと契約をして、その契約の範囲内で、ライセンスを受けるしかないと知ったんです。だから、私も、アマゾンに、Amazonアソシエイト・プログラムの利用申し込みをしました。審査もすぐに終わって、あっという間に利用できるようになりました。
来週から投稿予定のおすすめ漫画の画像は、すべて、アマゾンのリンク画像です。

そうだったんですね。では、とら先生のおすすめ漫画の紹介を楽しみにしています。
でも、弁護士って、副業禁止ではなかったでしたか?

営利を目的とする業務を営もうとするときは、所属弁護士会に届け出をすることになっていますが、禁止はされていないですね。
私も、ブログ閲覧者が、商品を購入して、紹介料が発生するようなことがあれば、東京弁護士会に届け出ますよ。

このブログを見てくれた人が、いっぱい買ってくれると良いですね(笑)

弁護士の副業の弁護士会への届け出

弁護士が副業をすることは、以前は、弁護士会の許可が必要とされていましたが、今は、弁護士会へ届出をすることで足ります。

弁護士法
第30条(営利業務の届出等)
1 弁護士は、次の各号に掲げる場合には、あらかじめ、当該各号に定める事項を所属弁護士会に届け出なければならない。
一  自ら営利を目的とする業務を営もうとするとき 商号及び当該業務の内容
二  営利を目的とする業務を営む者の取締役、執行役その他業務を執行する役員(以下この条において「取締役等」という。)又は使用人になろうとするとき その業務を営む者の商号若しくは名称又は氏名、本店若しくは主たる事務所の所在地又は住所及び業務の内容並びに取締役等になろうとするときはその役職名

総務省行政管理局

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