⚖️「宗教2世」が旧統一教会を提訴──3.2億円の損害賠償を求めた理由とは
~「誰にも助けを求められなかった」子どもたちの声が、ついに司法の場へ~

✍️「祝福」という呪いの名のもとに
親の期待を裏切るのが、なにより怖かった。
神様に反抗することと、親の教えに逆らうことは、同じ意味だったからだ。
「お前は祝福された子。特別な使命を与えられて生まれてきたんだよ」
そう言われて育った。小さな頃は、誇らしくも感じていた。
でも成長するにつれて、その「使命」がどんなに重く、自分を縛っているかに気づいた。
- 好きな服を着るのも
- テレビを見るのも
- 友達と遊ぶことすら──
「サタンに心を許すな」と叱られた。誕生日プレゼントを欲しがったとき、母は泣いた。
「そんな世俗的なものに心を奪われたら、祝福が穢れるよ」と。
何かが違う。どこかおかしい。
でも、そんな疑問を口に出すことさえ、怖かった。
同級生の何気ない一言が、胸に突き刺さった。
「おまえんち、宗教の人なんだろ?近寄んなよ」
その日から、自分の存在は「隠すべきもの」になった。家でも、学校でも、どこにも自分の居場所はなかった。
そして、いつしか、心の奥に黒い影が宿り始めた。
「教祖って何なんだろう。あの人のせいで、全部壊れたんじゃないか……?」
憎しみは、いつも祈りの言葉のすぐそばにあった。
それでも、誰にも言えなかった。
なぜなら、世界のすべてが、信者の目をして自分を見ていたから。