【離婚】婚姻費用の請求はいつから認められるのか?
夫と金銭感覚が合わず喧嘩ばかりで、先日、子供を連れて別居を始めました。夫に、生活費を支払ってくれるようにお願いしていますが、のらりくらりと応じようとしません。生活費はいつから支払ってもらえますか?
生活費の請求、つまり、婚姻費用の請求がいつから認められるかは、配偶者が任意に支払ってくれない場合、家庭裁判所で審判することになりますが、別居開始時とするものや、婚姻費用の分担請求時とするもの、また、婚姻費用分担調停の申立て時とする考え方があります。実務では、婚姻費用の分担請求時とすることが多いです。ただ、婚姻費用の請求をした時が明らかになるように、内容証明郵便の方法で、婚姻費用を請求するのが確実でしょう。
婚姻費用とは
婚姻費用とは、婚姻共同生活を営むうえので必要な一切の費用です。
離婚相談で婚姻費用が問題となるのは、夫婦が別居を開始して、収入の高い配偶者が、他方配偶者に、生活費の支払いをしない場合です。
実際、性格の不一致で別居を開始して、自身もある程度の収入があることから、高額の収入のある配偶者に婚姻費用の請求をしないという潔い方もなかにはいますが、別居の理由を問わず、収入の低い方から高い方に請求できるものですから、請求したほうが良いでしょう。
婚姻費用の請求方法
婚姻費用の請求は、どのようにすれば良いかですが、通常は、夫婦間の話し合いで解決をすることが多いでしょう。
話し合いで解決ができない、もしくは、話し合い自体をしていない場合は、婚姻費用分担の調停を家庭裁判所に申し立てることになります。
婚姻費用の分担は、家事事件手続法別表第2に掲げられており、家庭裁判所に調停の申立てをすることも、審判の申立てをすることも可能です。
ただ、当事者間の話し合いによる自主的な解決が期待されるもののため、審判の申立てをしても、家庭裁判所は、職権で、調停から手続きをさせることができます。
私自身、婚姻費用分担について、始めから審判の申立てをしたことはありません。
婚姻費用分担の始期はいつからか?
婚姻費用の請求の始期はいつからか。これについては、実務的にも争いのあったところであり、別居開始時とするものや、婚姻費用の分担請求時とするもの、また、婚姻費用分担調停の申立て時とするものがありました。
婚姻費用分担調停の申立ての場合は、調停申立て時、例えば、令和2年12月24日に申立てをすると、12月1日からの婚姻費用の請求であることを前提にして話し合いを行われることが多いと思います。
ただ、調停申立て前に、婚姻費用分担請求の意思表示を明らかとしていた場合には、その請求時が、起算日とされるのが、多数となっています。
しかし、婚姻費用分担の請求について、配偶者から、具体的な請求はされていないと相手方が主張することも考えられます。
そのため、調停申立後、話し合いがまとまらずに審判となることも考えて、婚姻費用分担の意思表示が明らかに示せる内容証明郵便で婚姻費用分担の請求をすることをおすすめします。
メールやLINEなどで請求しているのであれば、スクリーンショットで、家庭裁判所に証拠資料として提出するのも良いでしょう。
文書作成者
佐藤 嘉寅
弁護士法人みなとパートナーズ代表
プロフィール
平成16年10月 弁護士登録
平成25年1月 弁護士法人みなとパートナーズを開設
得意分野:企業間のトラブル、債権回収全般、離婚、相続、交通事故、刑事弁護、サクラサイト被害などの消費者問題にも精通
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