⚖️「宗教2世」が旧統一教会を提訴──3.2億円の損害賠償を求めた理由とは
~「誰にも助けを求められなかった」子どもたちの声が、ついに司法の場へ~

✍️「祝福」という呪いの名のもとに
親の期待を裏切るのが、なにより怖かった。
神様に反抗することと、親の教えに逆らうことは、同じ意味だったからだ。
「お前は祝福された子。特別な使命を与えられて生まれてきたんだよ」
そう言われて育った。小さな頃は、誇らしくも感じていた。
でも成長するにつれて、その「使命」がどんなに重く、自分を縛っているかに気づいた。
- 好きな服を着るのも
- テレビを見るのも
- 友達と遊ぶことすら──
「サタンに心を許すな」と叱られた。誕生日プレゼントを欲しがったとき、母は泣いた。
「そんな世俗的なものに心を奪われたら、祝福が穢れるよ」と。
何かが違う。どこかおかしい。
でも、そんな疑問を口に出すことさえ、怖かった。
同級生の何気ない一言が、胸に突き刺さった。
「おまえんち、宗教の人なんだろ?近寄んなよ」
その日から、自分の存在は「隠すべきもの」になった。家でも、学校でも、どこにも自分の居場所はなかった。
そして、いつしか、心の奥に黒い影が宿り始めた。
「教祖って何なんだろう。あの人のせいで、全部壊れたんじゃないか……?」
憎しみは、いつも祈りの言葉のすぐそばにあった。
それでも、誰にも言えなかった。
なぜなら、世界のすべてが、信者の目をして自分を見ていたから。
※このストーリーは、実際の報道をもとにしたブログ記事の導入として構成されたフィクションです。
💰 教団の責任を問う
2025年7月24日、東京地裁において、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)を相手取った損害賠償請求訴訟が提起されました。
原告は、教団信者の親のもとで育った「宗教2世」の8人で、請求額は総額3億2000万円にのぼります。
原告の主張は明確です。
「人格形成、教育、進路、交友関係──すべてが教団の教義に制限された。
親の信仰を超えた“構造的支配”があった。その責任は教団にある。」
代理人弁護士は、
「親の行動に教義が強く影響し、発達環境を著しく歪めた」
とし、教団による指導・管理の実態を問題視しています。
✨ 宗教2世によるこの種の集団提訴は、日本で初めてとみられています。
🧩 原告が語る「生きてきた地獄」
🗣️「弟は、自分の人生を諦めました」
四国地方の20代男性は、幼少期の体験と双子の弟の自死を語りました。
- 礼拝の強制
- 交友関係の断絶
- 孤独
- 心の支えだった弟の死
「教団の影響以外に理由が見当たらない」と、
この訴訟は「弟のためにできる、唯一のこと」だと述べています。
🗣️「今、何かを変えられる大人たちへ」
30代男性は「祝福二世」として教団内で育ちました。
「教祖夫妻の欲望のために人生を奪われた。
見て見ぬふりをした“大人たち”も共犯者だと思っている。」
そして、今も苦しむ宗教2世に向けて──
「勉強だけはしてほしい。不平等な環境でも、
勉強だけが“平等な足掻き手段”だから。」
❓「宗教の自由」は「子どもの支配の自由」ではない
宗教の自由は、日本国憲法が保障する大切な人権です。
しかし、未成年の人格形成や生存権に優先するものではありません。
本件はこう問いかけています。
「信仰の自由」と「子どもの権利」が衝突したとき、社会はどちらを守るべきか?
💡「助けを求めていいんだよ」
中部地方の40代女性は、次のように語っています。
「今も、私と同じように助けを求められない人がいると思います。
その人たちに、“助けを求めていいんだよ”と伝えたい。
私の裁判が、そのきっかけになったら嬉しいです。」
この声に、私たちはどう応えるべきでしょうか。
🧭 編集後記
この裁判は、「宗教2世」問題が司法の場で本格的に問われる第一歩です。
特筆すべきは、加害者として「親」ではなく「教団」そのものが名指しされたこと。
家庭内の育児環境に、教団がどれほど関与していたか──
そして、その影響が違法と評価されうるかが問われます。
この裁判の行方は、日本社会に次の問いを突きつけています。
🔹宗教の自由と子どもの人権
🔹家庭の信仰と社会の責任
🔹“声を上げる”ことの尊さと困難さ
今こそ、耳を傾けるべきときです。
文書作成者
佐藤 嘉寅
弁護士法人みなとパートナーズ代表
プロフィール
平成16年10月 弁護士登録
平成25年1月 弁護士法人みなとパートナーズを開設
得意分野:企業間のトラブル、債権回収全般、離婚、相続、交通事故、刑事弁護、サクラサイト被害などの消費者問題にも精通

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